格子欠陥の応力の起源に関する論文が発表されました!この研究では、微分幾何学を用いて結晶中の格子欠陥に関する理論解析を行いました。今回の研究では、代表的な格子欠陥である転位の近傍にはなぜ応力が集中するのか?という問題に対して、理論的な立場から解析を行いました。その結果、転位の近傍には「曲率」と呼ばれる空間の歪みが生じており、これが原子が整列した結晶格子の周期性を崩す「幾何学的なフラストレーション状態」を生み出すことを明らかにしました。こうしたフラストレーション状態の解消には、数学的にはリーマンーカルタン多様体のユークリッド空間への埋め込みを必要としますが、これは力学的には塑性変形によって相補的に引き起こされる弾性変形を表しており、これが格子欠陥の近傍に応力が集中する直接的な原因となることを明らかにしました。
Geometrical frustration in nonlinear mechanics of screw dislocation
S. Kobayashi and R. Tarumi
Royal Society Open Science, VOL. 11, NO. 12, 240711
http://doi.org/10.1098/rsos.240711
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